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鞍馬の考:時事論点・・・アメリカンビーフの巻き返しはあるか?

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アメリカンビーフの巻き返しはあるか?,NHK特集です

豪州との経済協定によりオージービーフが大きく販売を伸ばす中、アメリカとのTPP発行が不可能となった事でアメリカンビーフへの厳しい風が吹いています。ただ、アメリカ産牛肉の場合は、はるか昔の2000年代初頭からの狂牛病に関する対策の不徹底が消費者の信頼を喪失し、その上で比較対象のオージービーフへの流れが生まれたようにも思えます、消費者心理は重要で、アメリカンビーフを関税が下がるよう努力する支持母体が力を持てない事の遠因となるためでは、と。一方、輸入牛肉との競合での国産牛肉の問題がありますが、和牛と牛肉は別物、ではないにしても、ほぼブランドを確立していますので、ブランド戦略等を真剣に展開する方向へシフトする必要も大きいのかもしれません

↓以下NHK特集
アメリカンビーフの巻き返しはあるか?
4月20日 18時01分
肉じゃが、焼き肉、それともステーキ?ちょっとぜいたくをしたい時、食卓を飾る牛肉を使ったメニュー。皆さんは国産牛肉を使いますか?それとも外国産?外国産牛肉は値段が比較的、手ごろなこともあって、国内のシェアの6割を占めています。その外国産牛肉で今、トップに立つのは、アメリカ産を抑えてオーストラリア産です。オーストラリアに負けるなと、今、アメリカが国を挙げて日本市場に攻勢を強めようとしています。
(経済部 大川祐一郎記者)
牛肉めぐりライバル関係 米国と豪州

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関東地方に60店舗余りを展開するある飲食チェーンでは、人気のハンバーグやステーキに使われる牛肉の8割をオーストラリア産にしています。この飲食チェーンの本城弘商品開発部長は「TPP=環太平洋パートナーシップ協定が発効するなら、アメリカ産を使うことも検討したが、今は先行きが不透明。着実に関税が下がれば、その分原価が下がり、お客様にそれだけ安く提供できる」とオーストラリア産を使うメリットを説明します。

日本国内の牛肉供給量のうち実に6割が外国産の牛肉ですが、そのおよそ90%がアメリカ産とオーストラリア産です。かつてはアメリカ産とオーストラリア産はともに30万トン前後の輸入量で推移し、シェアは拮抗していました。

しかし、平成15年にアメリカでBSEが発生したのをきっかけに、アメリカからの牛肉の輸入はストップし、日本ではオーストラリア産に置き換わりました。2年後にアメリカからの輸入は再開され、シェアは徐々に回復してきてはいますが、長い間、オーストラリア産にトップの座を明け渡したままとなっています。

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豪州産牛肉に追い風 なぜ?

どうしてアメリカ産の牛肉は日本市場でオーストラリア産に追いつけないのか。背景のひとつだと指摘されているのが「EPA」です。「EPA」は経済連携協定と呼ばれ、協定を結んだ国どうしで関税を撤廃したり引き下げたり、貿易のルールを共通化したりするものです。

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日本とオーストラリアの間にも2年前、日豪EPAが発効しました。これによって日本が輸入したオーストラリア産の牛肉にかかる関税は段階的に下がることになり、当初の38.5%から、すでに冷蔵では29.9%、冷凍で27.2%まで引き下げられています。そして、将来的には冷凍では19.5%まで下がることになっているのです。

一方のアメリカはどうでしょうか。TPPがもし発効すれば、アメリカ産もオーストラリア産も16年目には9%まで下がるはずでした。しかし、トランプ大統領がTPPからの離脱を表明したことで、アメリカ産の牛肉にかかる関税は38.5%のままとなりました。

オーストラリア産の牛肉はEPAによって今後、着実に関税が下がり、店頭での価格も下がっていく可能性がありますが、このままではアメリカ産牛肉は不利な競争条件となるのです。

危機感強まるアメリカンビーフ

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こうした現状に危機感を強めているのがアメリカの食肉業界です。18日に行われた日本とアメリカの経済関係の課題について話し合う新たな経済対話。時を同じくして、アメリカで牛肉や豚肉の生産者や輸出業者などでつくる団体「米国食肉輸出連合会」のフィリップ・セング会長が来日しました。アメリカの食肉業界を代表して、世界に売り込みを続けてきた豪腕のセールスマンです。日本にもおよそ10年間、駐在した経験があります。

セング会長は、日米経済対話が行われる直前、都内で記者会見を開きました。そして「TPP協定にアメリカが加わらないことは残念だが、2国間での交渉に力を入れて、できるだけ早く日本とアメリカが、FTA=自由貿易協定などの新たな取り決めをすることを期待する」と述べ、日米経済対話で早期に関税が下がるような協定づくりに道筋をつけるべきだと訴えました。

アメリカでは牛肉と豚肉の生産者団体もトランプ政権への働きかけを強めています。ことし2月にはトランプ大統領に書簡を送り、TPPの代わりに日本と2国間のFTAの交渉を始めるよう求めました。

TPPからの離脱を決める一方、こうした国内の農畜産業界の人たちからの働きかけを受けて、トランプ政権の閣僚もできるだけ早く日本との間に関税を引き下げる協定をつくるべきだという機運が高まってきています。

トランプ政権の通商代表に指名されたライトハイザー氏は、今後、アメリカが農業分野の通商交渉を進める際には「日本が第一の標的になる」と述べました。今後、トランプ政権はTPPよりもよい条件を引き出そうと、日本に攻勢を強めてくる可能性もあるのです。

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不安が募る国内の畜産農家

一方で、日本の肉牛の生産者も、日米経済対話の議論の行方を見守っています。もし、日本とアメリカが2国間の貿易交渉を始めた場合、アメリカの攻勢によって、TPPで合意した内容以上の関税の引き下げを求めてくるかもしれません。そうなると、国産の牛肉の価格が下落して、経営に打撃となることも予想されます。

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栃木県の平久井順一さんは、およそ60頭の和牛を生産していて地域の生産者の部会長も務めています。国内では子牛の価格が高騰して経営環境が厳しくなる中、アメリカ産の牛肉にこれ以上、市場のシェアを奪われれば、経営は成り立たなくなると危機感を感じています。

平久井さんは「2国間でやると、トランプ大統領の思うつぼに入るんじゃないか。どんどん『買ってくれ』と言ってくるトランプ大統領に、日本の政府がどう対応していくのかをいちばん気にしている」と心配していました。

食卓の肉はどうなる

18日の日米経済対話では、農産物の関税の引き下げや撤廃など個別分野についての踏み込んだ要求はなく、今後、協議をしていくテーマ設定にとどまりました。

アメリカ側が初会合で踏み込まなかったのは、トランプ政権で閣僚や政府幹部の就任手続きが大きく遅れていて、貿易交渉の態勢が十分に整っていなかったことが背景にあるという指摘もあります。

「早期に日米FTAを!」「2国間の交渉は思うつぼだ!」 同じ食肉関係者でも日米経済対話に期待することは日本とアメリカでは正反対でした。ただ、こうした考えの違いは、仮に貿易交渉が始まれば日米両政府の間にも生じることになると思います。日本は苦労して合意にこぎつけたTPPの合意の内容、とりわけ関税の取り扱いはなんとしても守りたいでしょうし、アメリカはTPPよりも良い条件を引きだそうと厳しい要求を突きつけてくるでしょう。

そのとき日本の政府はどう対応するのか。その結果、わたしたちが日ごろ利用しているスーパーや飲食店で提供される外国産の肉は、どこの国のものが多くなり、いくらになっているのか。そんな日本の食肉の将来を想像しながら、今後も日米経済対話の議論の行方を見つめていきたいと思います。
http://www3.nhk.or.jp/news/business_tokushu/2017_0420.html?utm_int=detail_contents_tokushu_004&nnw_opt=tokushu_a
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